履修を希望するみなさんへ

20世紀のコンピュータは、家庭やオフィスで一部の人が使う特殊な道具でした。
21世紀のコンピュータは、小型化され、高速な無線ネットワークに接続され、人の表情を読んだり、顔や声を認識することができるようになって、人を拡張する一般的な道具になってきました。また自動車や鉄道、美術館や鉄道駅などの公共建物、あるいは道路や公園をはじめとするさまざまな空間にまで染み込んでいます。22世紀には、目に見えないくらいの大きさのコンピュータや、様々な形のコンピュータが、デジタルな情報を生産・処理・流通させて、人の活動を凌駕するようになると思われます。このような機械を使って人が『幸せ』になるためのソフトウエア技術を、中澤・大越研究室では開発しています。

活動内容

研究会の授業に参加する

研究会の授業は主に 木曜日 2、3限 でおこないます。2限は主に講義をし、一般の授業ではカバーされない色々なことを話します。3限は主に実習系のことをやります。最近は、様々な分野のプログラミング技術やシステム管理技術など、実際に手を動かして、研究に必要な色々なことを習得します。

また、初回と第2回、および学期後半の学生発表回は、「中村・楠本・高汐・バンミーター・植原・三次・中澤・手塚・武田・大越合同研究プロジェクト」(https://rg.sfc.keio.ac.jp、以下RGと呼びます)と合同で4、5限にも実施します。この時間は研究活動のための基礎的な情報を修得したり、研究会の他のグループ・プロジェクトの研究状況を知るための重要な場となります。

研究グループ(KG)のミーティングに参加する

テーマごとの研究グループ(KG)に分かれて研究活動を行っています。各KGは、毎週ミーティングをして活動の進捗や今後の方針、研究に関わる業務について話し合っています。新規履修者の皆さんには今学期の半ばまでに、所属するKGを選んで頂きます。所属するKGを決定するまでは毎週、いずれかのKGのミーティングに参加して頂きます。毎週、同じKGに参加するのでも、各KGを巡って頂いても構いません。なるべく多くのKGミーティングに参加してみて、自分の興味分野にあったKGを見つけてください。

  • ONE ネットワークシステムやオペレーティングシステムなど、システムソフトウエアの研究グループ
  • D-Hacks 大規模モデル、生成モデル、分類モデルなど、深層学習システムの研究グループ
  • WellComp 人のウェルビーイング向上につながるインタラクションシステムの研究グループ
  • Sensys 街のスマート化につながる実空間のセンシングシステムの研究グループ

WIP・TERMプロジェクト

毎学期、学期末に学生の発表会があります。今学期中に取り組んだ内容をWIP(Work in Progress。研究成果が出る途中の段階)形式か、TERMプロジェクト(研究成果が出た段階)形式のいずれかで発表してもらいます。在籍2学期目以降は、原則としてWIPは必須となっていますが、WIPは合同プロジェクトの中の研究グループ内、あるいは複数の研究グループが共同でおこなう場合もあります。TERMプロジェクトについては、RG全体での発表会をおこないます。参考に、2023年度秋学期のTERMプロジェクトのタイトルは以下の通りです。

  • 同時手番ゲームにおいて敵行動を予測し行動するエージェントの検証
  • 心拍と加速度データを使用した熱中症リスク推定
  • 獣害対策のためのイノシシ検出かつ性別分類可能なフレームワークの提案
  • 弓道動画における結果予測とフォームフィックスツールの開発
  • Sentence-Level Sign Language Translator with Facial Expression
  • AoAとRSSIを複合したより身近なBLE位置推定
  • 一般物体検出とLSTMを用いた画像に基づく屋内位置推定
  • オーバートレーニング予防を目的とした筋負荷推定
  • 多遮蔽MR環境における位置推定システム
  • 自由記述文における舞台作品レコメンデーションシステムの考案
  • 入力データセットの特徴量を考慮したメタ学習手法の提案

卒業論文

TERMプロジェクトに合格した履修者のみ卒業プロジェクト(卒論)の制作が可能となります。卒業プロジェクトの履修を希望する際には、その前の学期までにTERMプロジェクトの発表を行い合格する必要があります。卒業プロジェクトでは自らソフトウエアを実装してそれを評価し、卒業論文にまとめます。卒業論文は目次などを除く中身が50ページ以上になるようにします。

履修上の注意

前提となる授業や、前提となる知識に関して、履修制限は設けていません。技能についても全く問いません。研究プロジェクト所属後に、技能や知識を身につけてもらうための指導をしますので、コンピュータに触った事が無い方でも履修できます。技能の有無に関わらず、やる気と積極性のある学生を歓迎します。ただし、以下の点にご注意ください。

  • 本研究会では高度なプログラミングスキルと論文執筆スキルを求めます。
  • 1、2年生は、研究会の活動を通じてプログラミングスキルを自分で身につけてください。
  • 3、4年生は、履修時に必要十分なプログラミングスキルを自分で身につけていてください。
  • 卒業時までに、研究会での活動を通じて研究成果を学会で発表するための論文執筆スキルを自分で身につけてください。
  • 3年生2学期目以降の新規履修は原則として受け付けません。
    • どうしても希望する場合には中澤(jin[AT]sfc.keio.ac.jp)または大越(slash[at]sfc.keio.ac.jp)へご連絡ください。
  • 学期の途中から参加したい方は、モジモジせずにデルタ棟S213へ直接来てください。